函館区における最初の教育団体である函館教育協会が設立されたのは、明治14(1881)年11月のことである。もっとも、その前身にあたる組織が存在していたことは、昭和9(1934)年の函館教育会創立50周年を記念して(明治37年に教育協会から教育会と改称)、同19年に刊行された『函館教育会沿革史』に、「抑も函館教育会は明治九年に創設せられたる小学教科伝習所の所員と其他同好の士が、思を教育にひそめ、其の研究機関の必要にせまられ、明治十二年教員練習会の誕生となり(以下略)」(同書、序)あるいは「明治十二年十一月開拓使函館支庁の学務課員、小学教科伝習所職員其他函館区の学事担当者、公私立学校教員等が相集り『教員練習会』を設け、毎月会合して教育に関する演説、討論を行ひ教育上の研究に資した。此の『教員練習会』が我が教育会の母胎となつたのである。」(同書、第1編第1章)などと記述されていることからも明らかである。
しかしながら、この教育協会の「母胎」とも言うべき「教員練習会」については、具体的な活動状況は不明である。事実、『函館教育協会沿革史』もこのことにはほとんど触れていない。したがって、こうした団体の存在していたことを指摘するのみにとどめておきたい。