炭化材 炭化材クリ(200倍)
炭化材 ヤチダモ(600倍)
住居跡から発見された樹種は四種であるが、柱などにはクリとナラ類が使われ、上屋などにはイタヤ類とヤチダモなどが用いられていた。これらの材料による骨組がどのようになっていたかは明らかでないが、住居跡の掘り込みが深く、六〇センチメートル以上であるので、屋根は地上からそれほど高くはなく、屋根のすそが竪穴を覆うように広がっていたと思われる。住居壁には焼けた石と土がなだれ込んだように入っていたが、屋根のすそは外から雨水などが入らないように土や石で覆っていたと考えられる。
西桔梗の竪穴住居跡のうち、掘り込みが深いのはこのD遺跡だけで、長方形の二号住居跡は縦軸が五・九メートル、横軸が四・三メートルで、掘り込みは四八センチメートルから六八センチメートルと深い。この住居は主柱穴が四本あり、それを支える支柱穴が主柱穴の外側にある。炉は中央より南寄りで石組がない。入口と考えられる北東部には、出入りが容易なように壁の張り出しが造られている。竪穴住居跡でこのように壁が高く、深く掘り込んでいる例はこれまでにないが、この中に入って記録作業などをして見ると、風の強い日でもあまり気にならない。このように深く掘り込んだ住居は、冬に備えての住居であったのかもしれない。