函館市市制施行五〇周年記念歴史写真集『目で見る函館のうつりかわり』に温古舎の扁額と舎内掲額などの写真が載っている。これは千葉重吉が別宅(現松川中学校付近)において、明治七年「温古舎」の名称で図書館を開設した時のものである。旧松前藩の蔵書の市に出された二千余冊を求めたものといわれるが、閲覧者が少なかったため、閉鎖したという。「舎内備ふる書籍は諸君温古知新参考のため閲覧随意なるも舎外携出するを許さず」と掲額していた。千葉重吉のごとく今から百年以前亀田村に図書館を経営したことは、まことに画期的なことであった。