学務委員による教育振興

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学務委員辞令

 学務委員は、『学務委員撰挙規則』(明治十四年三月 函館支庁)及び『学務委員の事務章程』によって明確に定められたが、普通教育の実質を向上させようとして、明治十五年一月、函館支庁では戸長にすべて学務委員を兼ねさせていた。
 
 ア 学務委員は毎町村に一名又は数名をおくこと。
 イ 任期は二か年であること。
 ウ 学務委員は函館支庁学事諸規則の旨趣を遵奉し、郡区長の監督を受け、其の担当部内児童の就学、学校の設置保護等の事を掌り傍ら私立学校を管知すること。
 エ 就学の勧誘、父母後見人を督励すること。
 オ 教育予算を議定させること。
 カ 決算表の作製及び報告。
 キ 学校世話係、事務取扱心得を定めること。
 ク 毎一周年報を編製開申すること。
 
 その他詳細に学務委員の撰挙規則や、事務章程を定め、教育の進展を企図していた。函館県では、十六年三月、郡区長、学務委員の職務を規定した『教育事務要領』、四月には『就学督励規則』、『学務委員薦挙規則』を定め、学務委員の任務、選出方法について規定した。明治十四年六月の新聞によると、「亀田村平民筒井又右衛門外十八名が亀田村外十七か村学務委員に命じられた」ことが報道されているが、神山村、鍛冶村、赤川村、桔梗村、石川村もこの規定によって、それぞれ学校管理を行い、教育の振興に当った。