この郡農会は明治三十三年八月に設立され、事務所は函館区元町に置いた。農会の区域は名称のとおり亀田・上磯の二郡であり、会長は北海道道会議員の池田醇、副会長は同予備議員大橋東悟であった。
組合の組織は、会長副会長の下に五名の評議員と二名の幹事と、その他、数名の技師、技手、書記などが置かれていた。郡農会の主な業務は次のとおりである。
(1)農事に関する巡回講話、共進会、品評会、競技会又は種苗交換会などの開設に関すること。
(2)農事の講習及び試験、農事経済の調査及び統計に関すること。
(3)種苗、肥料、農具などの交換、分配及び共同購入の斡旋に関すること。
(4)蚕業の改良発達を図ること。
(5)動植物の病害虫害駆除、霜害の予防並びに有益虫菌の保護蕃殖を図ること。
(6)農家の副業に関すること。
(7)耕耘、肥培、灌漑、排水、農産物の調査、その他農具改良に関すること。
(8)産業組合、其の他農事組合の設立を勧誘すること。
(9)農家の風紀及び勤倹貯蓄に関すること。
(10)農事功労者の表彰を図ること。