亀田小学校の教育

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 亀田小学校は前述のように、函館師範学校の代用附属として、教育実習生の指導とともに教育研究について努力を続けてきたが、昭和の前期における概略を「自治展覧会出陳品控」(亀田村役場)の中に掲載された「亀田小学校教育の実際」から引用することにしたい。
 
 「(一)教育方針 日本民族精神たる『生成観』に立脚して、一は思想国難に対応し、一は経済国難の打開をはかる根源力を培い、以て時局に処するに最も忠良堅実なる国民の養成に努める。
 敬信 敬神崇祖の念並びに天皇現人神の信仰を強固にし、『承詔必謹』という信仰的態度の馴致を第一義とする。
 教授 皇道の振起に根本基礎を置き、ひたすら『尊信』の道を体得せしめることを以て第一義とする。
 訓育 我が国の社会生活の機構は、家には家長の座、学校には校長の座、国家には天皇の座が厳然と存在する。故にこの座を尊信敬愛して敬順の誠をつくすことを以て、社会生活訓練の第一義とする。
 共働 国民一致協力の精神を涵養せんがために、共働の作業をなさしめる。
 体育 日本武士道精神に立脚して、心身の鍛練に努める。
 以上の教育方針を貫くものは真に『わかること』の教育であり、一人一人に徹底する教育である。
 
  (二) 施設事項
  1 日本精神陶冶の施設
   イ 国旗掲揚並びに奉安殿礼拝 ロ 神殿礼拝 ハ 諸儀式の尊厳化
   ニ 皇室に関する講話 ホ 国家及び国際ニュースの掲示及び講話
  2 情操陶冶の施設
  3 衛生体育の施設 トラホーム治療(教師洗眼)
  4 科学心啓培の施設
  5 職業的陶冶の施設
  6 家庭生活向上の施設
  7 社会教育の施設
   ア 青年訓練所の教育方針 イ 実業補習(女子)の教育方針
   ウ 青年団の活動
  8 全村一致の教育
   ア 全村公職者の融合 イ 全村青年の融合 ウ 全村教員の融合
   エ 全村教育是の確立
 
 (三) 学級編制
  1 代用附属小学校としての合理的な学級編制
 本道の拓殖的実情に鑑み代用附属小学校としての合理的な学級編制は第一類(単式、複式、単級、劣等児学級を含む)十二若くは十三学級、第二類十七若くは十八学級を理想とする。
  2 複式研究学級を併置する理由
 従来の一校主義の研究を廃し、全村各種編制の各学校が、有機的連関の下に各々の教育的意図を相互に滲透し、以て全村教育の向上をはかる。これがためには、絶えず比較研究意見の交換に便なる組織編制を必要とする所以である。
 単式学級の児童数を減少して、学習を合理的にするためには、従来単式編制の小学校と雖も多分に複式編制の必要が生ずる。
 単式学級の教法改善のためには、或意味において、単級並びに複式学級に発展せる自学的教法を取り入れ、以て単式の複式化をはかる必要がある。
 以上の研究は先ず代用附属小学校が率先して実現すべき使命をもつものである。昭和九年度の学級編制は単式の外、一、二、三学年、四、五、六学年の各三学年複式学級及び単級(劣等児特別指導学級を兼ねる)である。」
 
 以上のような教育研究は全道的に有名となり、参観者が多く、教育実践上に大きな影響を与えた。また、札幌、旭川、函館の三師範学校附属合同研究会開催にも常時参加して、教育の研究実践に努力を続けた。

敬神