種子用「亀田男爵薯」の発生、沿革、特性などにつき、亀田村農業協同組合解説資料(一九五四年)によれば、次のように説明している。
男爵薯は、米国マサチューセッツ州の原産で、一八七六年ころよりアイリッシュ・コブラーと呼ばれ、極早生種で収量も多く、且つ粒ぞろいが良く、食味も佳良であるところから、広く栽培されている品種である。北海道に渡ったのは明治四十年ころで、当時函館ドック会社社長川田竜吉男爵が輸入し、七飯村に経営の農場に試作した中から、最も早生で粒のよい一品種の増殖を行い、漸(ぜん)次普及したものであるが、原名が判然としないため、川田男爵にちなんで男爵薯と称するようになった。のち昭和三年北海道農事試験場において品種試験の結果、優良品種に決定されてから、大いに栽培を奨励されるに至った。