市村合併実現の場合における函館市の構想について

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 農林行政について
  ア 農業協同組合の強化
   (1) 協同集荷販売対策
    ○ 農業倉庫増設及び施設の拡充強化
    ○ 集荷所の増設
    ○ 貯蔵庫の設置
   (2) 農業用機械の整備拡充
      ジープ 自動二輪車 共同防除器具等
   (3) 協同事業の拡張
      藁工品 精米所 澱粉工場 漬物工場等による事業の拡充を図り、併せて農閑期における農家就労対策にも資する。
      委員並びに関係機関の意見を調整の上、組合事業として実施すべきものから実施し、民間事業として効果的な事業は、農家の共同事業として育成する。
   (4) 小規模農家の経営安定策
    ○ 草地養豚、集群養鶏の奨励
      組合を通じて貸付を図り、生産物により回収を図るものとし、事業実施に対しては極力これが援助にあたる。
    ○ 集卵について必要な施設について推進する。
  イ 多角経営による農家安定対策
   (1) 乳牛飼育農家の拡充
      市有乳牛の導入増加並びに道有乳牛の導入に力を注ぎ、これが貸付対象農家の増加を図り、一、五〇〇頭飼育を目標に努力する。
   (2) 肉牛の導入
        市、道有牛の導入を図り、農家の共同経営により、繁殖を図り、八〇〇頭飼育を目標として努力する。
   (3) 小家畜の導入強化
        農協事業の拡張対策と相俟って小家畜を導入し、各種事業の育成を図る。
   (4) 畜肉加工所の設置
        大小中家畜の飼育奨励と相俟って畜肉加工所を誘致又は設置し、これが消流に資する。
   (5) 家畜市場の設置
   (6) 草地改良事業の推進と牧場の整備拡充を図る
        牧場整備要領については各種団体の意見調整により決定し実施することにしたい。
   (7) サイロ、堆肥場の設置奨励
   (8) 蔬菜の速成栽培施設の設置奨励
  ウ 土地改良事業の促進
        亀田土地改良区の地域拡充により、その事業の実施範囲の拡張を図り、国及び道の補助事業について、なお共済組合その他関係技術者との援助により、極力畜産業の強化拡充計画を推進する。
  エ その他
   (1) 湯川直轄灌漑事業の促進
   (2) 大野平野灌漑事業の推進
 
市民税及び固定資産税について
 ア 市民税については均等割のみが違うが、法で許される期間、不均一課税を行う。
 イ 固定資産税は、亀田村における現在の評価を踏襲する。
 
教育行政について
 ア 通学区域は合理的に再編成する。
 イ 北部地区については高校を一校新設するが、通学区域から考えて、基本的には道立で考慮し、不可能な場合は第二の手段を講ずる。
 ウ 基礎教育の重要性に鑑み、小中学校について施設の劣る点があれば函館並に水準を上げる。
 
福利厚生施設
 ア バス路線については、交通網を整備強化して、経済的に且つ安易に地域住民の文化生活に適応すべく運行を図る。
 イ 墓地公園については、十万坪の計画で、既に第一次の五万坪の買収を終り、建設省に申請しているが、火葬場の施設の進んだものを考えている。
 ウ 水道の敷設は、近接した地域については合併と同時に敷設する。
 エ 消火栓の設置については、本町地区は合併後直ちに設置し、大野新道地区は管が細いので改修次第設置する。
 
保健衛生について
  隔離病舎としての性格しかもたない現康生病院を医療法に基づく公的医療機関(診療所)として充実、これを一般診療にあて、更に巡回診療を行って僻地住民の保健衛生に努める。
 
社会福祉施設について
  本市の社会福祉行政は、公益質屋、保育施設、母子寮、養老院、精薄児童通院施設、更正施設、児童擁護施設などその充実した諸施設をもって道内にも類のみないものがあり、今後とも社会福祉行政については鋭意拡充と充実を図る。これを具体的に述べれば、
 ア 公益質屋
   住民に殆んど無利子で融資の機会を与えるため、亀田方面に運転資金三〇〇万円、十五坪二階建総鉄筋コンクリートの規模で公益質屋を設置し、その公益性に立脚し、営利性を没却した施設を高度に利用させて民生の一翼とする。
 イ 国民健康保険
   国民健康保険制度については、早期開始を目標に、着々準備中であるが、亀田村合併により更にその実現が急がれる実情ともなり、これが実現によって、住民の疾病への恐怖が解消されるものと思考される。
 ウ 保育事業
   直ちに季節保育所の設置をして、農繁期などにその生業に専心できるよう施策する。
 
村会議員の待遇について
   合併後は当市市議会議員の次期改選期まで、亀田地区委員会(仮称)を設置して、市長諮問機関とし、それ以降は亀田地区農林特別委員会(仮称)を設け、その各々の決定事項については、全面的に市政に反映するよう充分尊重する。
 
村職員の待遇について
   現在の給与のまま全員市の職員とし、恩給についても通算する。
 
その他
  ア 亀田村役場の処置については現在の位置に支所として存置する。又現在村役場で行っている事務以上に住民に対して不便をかけない。
  イ 青函トンネル及び函大航路について
    市では青函トンネルに決して反対しているものでなく、むしろ函館市の立地条件を生かすことこそ大切であるので、函大航路の開設を運動し、経済的に文化的に本州との関係を密接にし、以て本市の発展に資すべく努力している。
  ウ 飛行場について
    飛行場の設置については既に工事に着手している現状であるので、竣工のあかつきには、函館市の発展に非常に貢献するであろうことは論を俟たぬところである。
 
  6 合併市町村実情視察(十一月二十三日~二十七日)
 札幌、旭川、小樽、釧路、帯広の各市および周辺合併地区ならびに対象町村の実情につき、慎重に調査を実施し、二十八日に調査報告書を提出した。
 
  7 説明会の開催
 今までの調査研究事項を主題として、次のように説明会を開催した。
   第一班 亀田小学校 桔梗小学校 桔梗小学校中の沢分校
   第二班 赤川小学校 鍛神小学校 鍛神小学校東山分校
 
  8 第五回委員会を開催
   ア 本日の委員会において最終結論を出すことに決定。
   イ 引続いて条件案を取りまとめる。
   ウ 十二月七日、市側と懇談することを決定。
     なお、「ア」について、少数意見として調査を打切り、一月九日以降にできる新議会に決定を持ち越す説は留保された。