休会明け十三日の本会議において、井上議員より「合併議決に対する村長の所信」を求めたところ、これに対し近江新三郎村長は「村内の情勢を検討した結果、現在までの調査、研究では不十分であり、合併に対する住民の意向も十分把握していないこと、新議会で更に調査研究を必要とするなどの理由から一月一日合併は時期尚早で執行することができない。」旨の意志を表明した。
井上議員は村長に対し、事態収拾の能力がない者として、不信任案の提出に及び、起立採決の結果、賛成十四で議決に必要な十八に達せず否決され、午後四時過ぎ閉会、議員提案による合併議決も、村長の不執行により、ついに日の目を見ることができなかった。
同月十六日、亀田村長より函館市長、議長および委員長あての、市村合併申し入れに対する文書回答は左記の通りである。
昭和三十二年十二月十六日
亀田村長 近 江 新三郎
函 館 市 長 吉谷一次 殿
函館市議会議長 片桐由男 殿
市町村自治振興
特別委員会委員長 高木直行 殿
貴市との合併について 貴市と本村との合併については本年七月十五日以来回を重ねて御協議をして参りました所、本月十一日本会議に於て一月一日を以て合併することを一応議決されましたが、執行機関としては、本村の実状を検討するに未だ村民に対する合併意志の徹底を欠き、且つ事務的に一月迄には準備完了至難と存ぜられますので、本村議会の改選が来る一月上旬行われること等を勘案して、その以後に於て更に検討の上善処致したいと存じますので、右御了承願い度回答申上げます。