陳情と決議文提出

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 改選後の臨時第一回村議会(一月二十二日)において、改めて市村合併調査特別委員会が設置され、二月五日には函館市から正式に合併申入れがあったが、これに対し、「亀田村自治振興会」並びに「市村合併期成会」から、それぞれ決議文と陳情書が村長および議長に提出された。
 
     決 議 文
   昭和三十三年一月二十二日、亀田村第一回村議会において市村合併特別委員会が設置され、合併に対する調査、研究を充分なされることと思うのであるが、これらの調査、研究は短期間に於ては不可能と思う。村民のうちに市村合併に反対する多数の村民のある現段階にあって、合併条件の事項についても明確に吾々住民になっとくするまで説明を求めるものである。現在までの合併問題について考えられることは全国各地に行われている市町村の合併問題とは全く異ったもので、自然的状態の姿ではない。即ち村民の一部の者の策動によるものであると思う。故に先ず函館市に対して本村の権益を護らなければならない幾多の事柄があり且つ自主独立可能な現段階に於て、ただたんに市村合併問題にのみとらわれることなく、本村の発展のため永遠の希望に輝く施策を樹立して速やかに村民に提示すると共に急を要する別紙要望事項の実現に最大の努力をすべきである。従って吾々村民はその施策に対して赤誠をもって協力するものである。
 右決議する。
      昭和三十三年二月七日
                           亀田村自治振興会
 
    決 議 文
  本村自治体の確立を念願する我々住民は常に議会の動向を洞察するに自主独立の気魄の薄いことを甚だ残念に思う。第一に取上げなければならないことは、函館市との合併問題であるが、昭和三十三年一月二十二日の第一回村議会に於ける函館市より申入れのない現在に於て、函館市より申入態勢を作る特別委員会を設置する等は、亀田村を市に売物にしている軟弱外交である。第二は亀田村の主張しなければならない幾多の権利を譲らず却って市に迎合していること。第三は自らの力を何等評価せず住民を経済的に欺瞞して新市町村建設法の主旨にも反する住民負担の多い函館市に依存する行為等は絶対許さるべきでない。
  故に議会は理事者に対して、自主態勢確立の方途を樹立させ住民の安定せる自治行政の完璧を期するよう最大の努力することを強く要求すると共に今後当面する別紙要望事項の早期実現を理事者と議会は一体化して完成することを併而強く要求する。
  右決議する。
      昭和三十三年二月七日
                           亀田村自治振興会
     亀田村議会議長殿
 
     要望事項
 一 本町方面の飲料水、火防用水の供給のため水道設備の完成。
 二 特に本町、富岡、中道方面の住宅密集に伴い消火器具の増設、自動三輪ポンプ車弐台整備、現在の外に常備員として三輪車運転手弐名、消防員五名の増員、火災早期発見に務めるための常備設備及び点検要員を常勤させる。
 三 本町、富岡、中道方面密集地帯を衛生的にするため、下水、排水の完備、し尿及び塵かい処理方。
 四 政府の保護政策である「新農村建設計画」を実施すること。
 五 村道の補修、改修を積極的に実施すること。
      昭和三十三年二月七日
                           亀田村自治振興会
 
     陳 情 書
 愈々新旧年度の移り変わりの時と相成って貴職におかれては村政のため何かと御多忙を極め、日夜御精励なされておられることを深く感謝申し上げます。
 就ては吾々村民永年の念願である市村合併に関して、この際貴職の特段の御努力と断固たる御決意によって、その実現の一日も速やかならんことを特に懇願切望する次第です。今更我々が申す迄もなくこの件に就ては貴職就任以来最大の案件として充分研究討議されたことと存じますし、その結果として、我々村民の代表である村議会に於ても亦当然の帰結として多数をもって合併を議決されたことを聞き、吾々一同賢明なる議員諸氏の英断と決意に深く敬意を表すると共に、之が将来に大きな希望をもって居たのでありますが、どうしたことか之が遂に実現を見ず現在尚色々と論議されておると聞きますが、我々にはこの処置に就て全く理解に苦しむものであります。
 我々は村民の代表である議会が議決したことは、速やかに理事者に依って執行されるものと信じていたのであります。勿論議決迄の段階には理事者議会共に充分研究討議されるものと思っております。
 特に今度の合併の件に就ては、先に申した通り貴職就任或はその以前から充分研究され今日に至る迄の推移、市村両者の交渉、話合等に就て充分検討議論されその帰結迄は貴職におかれても充分御認識されているものと信じます。我々はこの合併の件に就て今更区々末梢に就て論議する迄もなく時代の推移、経済的、立地的条件等大局的見地からして当然合併致すべきものと確信致しているものであります。
 我々住民に依って公選された貴職は大多数の住民の意志を充分尊重せられまして、議会の議決を速やかに執行し合併を一日も速やかに実現せられるよう特段の御努力を御願い申し上げます。
     昭和三十三年三月十九日
                   市村合併期成会長 佐々木 勇 作
    亀田村長 近 江 新三郎 殿
 
     陳 情 書
 いつしか冬の風もおとろえ、日一日と春らしい風となり遠近の田畑には黒々とした地肌が現れ力強い大地の息吹が感ぜられる時候となりました。議員の皆様におかれましても愈々公私共に御多忙の時を迎えられ日夜村政に御精進下されていることと存じ厚く御礼申し上げます。
 この時に当って私達一同村民大多数の年来の宿願である市村合併に就て皆様方の特段の御努力と御決意をもって、一日も早く解決して下さらんことを御願い申し上げます。前議会で多数の賛意を得て議決され多年の念願であった市村合併が達成されることを心から祝福していたのでありましたが、遂に今日迄之が実現を見ないでいるのは何んのためでしょうか。本当に残念でなりません。私達は私達の選んだ議員の多数が決めたことがその通り実行されないのは本当に不可解です。今度の合併の議決がそのままお流れになって実行されずにいるのは何のためでしょうか。私達村民に納得出来るように御発表できないでしょうか。それとも議会の議決は実行しなくても宜しいのでしょうか。議会とはそんな無力なものでしょうか。議員の皆様、私達の郷土の発展のため又議員の面目にかけても前議会の議決した合併を実現さして下さるよう御願い申し上げます。
尚只誠に申兼ねることですが、議会の議決が不執行の場合の処置等に就て村報等を通して委細御報知下されば幸甚です。
 誠に拙文で申訳ありませんが、御判読の上私達の意のあるところを御承知下さるよう御願い申し上げます。
     昭和三十三年三月十九日
                   市村合併期成会長 佐々木 勇 作
      亀田村議会議長 亀 谷   正 殿