自治体合併の賛否に関する「亀田市住民投票実施条例」制定請求について、請求代表者宮崎米作ほか一〇名が八月九日付で吉田市長に対して請求書を提出した。
自治体合併の賛否に関する「亀田市住民投票実施条例」(案)は次のとおりである。
第一条(目的)この条例は住民にとって自治体合併は重大な問題であることにかんがみ、今日の間接または代表民主政治のもたらす弊害を除去することを目的とする。
第二条(定義)この条例で「自治体合併」(以下「合併」という。)とは、現在すすめられている亀田市と函館市の合併をいう。
第三条(資料の提出)市長は合併の具体的な資料を住民個々に提出しなければならない。
第四条(説明会の実施)市長は前条を実施後、すみやかに町会別の説明会を開催しなければならない。
第五条(住民投票の実施)市長は前条を実施後、住民投票をおこなわなければならない。
第六条(住民投票の適用法規)前条による投票は、地方自治法第二百六十二条の規定を準用する。
第七条(合併の賛否)合併の賛否は、有権者の過半数によるものとする。
第八条(委任)この条例に定めるもののほか、住民投票実施に関し必要な事項は市長が定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
十月二十七日、臨時第六回市議会において、「自治体合併の賛否に関する亀田市住民投票実施条例案について」を議案として審議した。右の条例案のほか、市長より意見書として次のように議案に記載された。
「今般、宮崎米作外十名の請求は、当市と函館市との合併に関し、住民意向把握のため住民投票実施の上に立って進めるべきであるという要旨であり、住民意志を尊重することは理解できるが、一方、議会制民主主義を守り、住民の意志を尊重する中で、すでに九月七日市議会において、両市の合併に関する議案三件の議決を得、これに基づき北海道議会においても十月十九日議決を了し、現在では自治省の告示を待つ段階にいたっております。
また、十月十九日付新聞等では、請求代表者が、『本運動等を中止することを決めた。』旨の談話発表が掲載されたこと等、諸般の情勢を勘案し、本条例制定には反対せざるを得ない。」
市議会において審議の結果、亀田市住民投票実施条例案は否決された。