総務常任委員長報告どおり可決

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 四十八年五月十五、六日の二日間の予定で開かれた臨時第一回市議会は、合併問題をめぐり、五度延長し、二十四日まで審議を重ねた。
 今議会で審議の中心となった点は、前年十二月と本年三月に総務常任委員会に付託された「亀田函館合併促進に関する陳情」二件の取り扱いについてであった。これは亀田市の将来を方向づけするに当り、市民の代表機関である議会として、合併問題に対し明確に意志表示する重大な問題であった。五月八日、総務常任委員会において、この陳情書が採択され、この度の本会議において審議されることになったため、多くの市民の議会に対する関心が高く、再三にわたる深夜審議にもかかわらず傍聴席は連日満員であった。各新聞は詳しくこのことを報道した。
 この重大な問題を審議するに当り、会期の前半においては議事日程や議会運営と審議方法などが主として論議された。また、十八日には議会から合併に関する諸資料の提出を強く要求され、十九、二十日の休会明けに両市における四十九年度から五十五年度まで七か年の振興構想資料が提出された。
 論議が進むうちで二十二日、提出されている合併反対陳情に関し、「市長はどう考えているか。」と質問したのに対し、市長が「見ていない。」と答弁したことから紛糾した。これは陳情書添付の署名簿の記帳、捺印をよく見ていないという意味であり、翌日、市長が「誤解を生む表現のため混乱を招き深く反省し陳謝する。」との釈明を行う場面もあった。
 同日は合併促進陳情二件を審議した。総務常任委員長井上忠男による同陳情書の採択報告の要旨は次のとおりである。
 
 「総務常任委員会は昨年十二月議会と今年三月議会において付託された合併促進の陳情書について、委員会を七回開催した。最終の委員会において委員長を除き賛成三、反対二で陳情書採択に決定した。
 自治振興調査特別委員会で審議中の合併に関する要望書との関係を考え、総務常任委員会としての立場から、住民世論の動向の把握、資料は特別委員会と重複しないように配慮した。調査事項としては学校教育の問題、公営企業などの実態(水道)、交通事業、病院経営、住民世論などである。
 結論として、生活圏は一体であること、市民意識上から境界が存在しないこと、亀田市の人口増の六〇%は函館市からの流入であること、上水道の拡張ができること、公共下水道の解決を考えること、港湾を活用すること、社会福祉では亀田市が先んじた政策であること、広域的視野の行政が必要であることなどの理由によって陳情書を採択することとした。」
 
 これに対し、同委員会の土井勝雄委員より少数意見として、自治振興調査特別委員会の審議結果が発表されていない点をあげ、次のような発言があった。
 
 「総務常任委員会の結論は時期尚早であること、採択の理由の各項目も考え方のちがいがあること、亀田市の主体的な立場を尊重したいこと、函館市に対し依存意識を脱却すること、自治振興調査特別委員会の結果が生まれるまでの間保留すべきこと。」
 
 二十四日、委員長の報告をめぐって質疑後討論が行われ、午後十時五十分採決の結果、賛成一八、反対七で委員長報告どおり可決され合併促進の陳情を採択することになった。
 これにより、議会としては亀田市と函館市の合併について賛成の意向を打ち出したことになり、この後、吉田市長から「議会の意志を尊重し、早い機会に両市による合併協議会をつくり市民の声に答えたい。」との所信表明があった。
 なお、合併反対に関する陳情はみなし不採択となり、更に函館市、亀田市早期合併要望書二件は一括みなし採択、二市三町広域行政促進に関する要望書はみなし不採択と決定した。