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 空港と美原の風向分布(図2・2・9)を比較すると、年間を通して、美原では西北西と東の風が多く、全体の形が偏平であるが、空港では西北西と北北東の風が多くなっており、北成分の多い円に近い分布をしているのが特徴である。
 季節ごとに詳しく見ると、春は季節風の名残の西北西の風が両者に見られるが、ほかに美原では東風、空港では北北東風が多くなる。夏になると、美原では東風が増加するが、空港では東風とともに南西風の頻度も高い。秋から冬は、季節風の西から北西風は美原でも空港でも同様な現れ方をしているが、空港では北北東風のピークも存在している。
 空港の風を代表する北北東風は、地形と関係の深い海陸風なのである。過去の調査によると、海岸線から約一キロメートルに位置する函館空港では海陸風の影響が顕著で、「函館空港の海陸風は風速が一五ノット位(約八メートル)に落ちると発現する。陸風は特定方向(北北東風)となっているが、海風は季節変化をして」いることが確かめられている(宮本英文「函館空港の海陸風」平成三年度道南地区気象研究会資料)。
 以上は空港のある銭亀沢西部の風についての特徴であるが、東部は地形的にも異なり山地が海岸近くへ迫ってくる。このため、海岸線と交差するような向きの風は吹きにくくなり、東西方向の風の吹くことが多くなるだろうと推定される。
 空港の平均風速は、年間を通して一ないし二メートル、美原より強い(図2・2・10)。特に冬から春先に強くなっている。一日の最大風速が一〇メートル以上の強風日数を比較すると、内陸の美原より海岸地方の空港が約九倍も多いことがわかる。

図2・2・9 風配図(年間および四季)
空港の記録は「函館空港の風に関する統計、1962-68」(函館空港出張所、1969年)による

 

図2・2・10 (上)平均風速の季節変化と年平均値 (下)日最大風速10m/s以上の強風日数と年間積算日数