また、銭亀沢では小型定置網漁をおこなう漁家が数軒ある。主要な漁獲種としては、四月にサクラマス、カラフトマス、ヤリイカなど、五、六月にはスズキ、ホッケ、マイワシ、ウミタナゴ、スルメイカ、テクビイカなどが水揚げされる。オキタナゴ、カワハギは大量に漁獲されるものの、魚体が小さく、生鮮および加工の用途がないため、そのまま海上で捨てられることが多い。
底刺網漁では、クロソイ・キツネメバル(まぞい)、ゴマゾイ(ながらぞい)、エゾメバル(がや)、メバル、ヤナギノマイなどのメバル類、アイナメ(あぶらこ)やエゾイソアイナメ(どんこ)、大型のホッケ(ねぼっけ)、ウミタナゴ(たなご)、オキタナゴ(ととぐち)、トゲカジカ(なべこわし)、ホテイウオ(ごっこ)、マガレイ、スナガレイ、イシガレイ(いしもち)などのカレイ類が水揚げされる。珍しい魚種では、マダイ(たい)、クロダイ(ぎんだい)などの南方系種、キアンコウ(あんこう)などの深海魚も漁獲される。また、アブラツノザメ(あぶらざめ)は冬場の南下群が刺網にかかり、価格が高いときに販売される。皮を剥いたサメの肉(むきさめ)はみそ田楽やかまぼこの原料にされ、刺し身で食べる場合もあるという。夏場のサメは価格が安く、網を破って被害を与えるので船上で捨てられることが多い。
スルメイカはマイワシ、マコンブと並び、かつての銭亀沢の主要な漁獲物であった。昭和五十年代がスルメイカ漁の最盛期で、四〇隻ほどの木造船で賑わい、一隻一晩の水揚げが五、六〇〇万円もあったというが、現在の銭亀沢所属のイカ釣漁船は一八隻に減っている。魚価安に加え、漁船、イカ釣機などの設備投資や燃油、魚箱などの経費高騰で採算が厳しいという。
表2・3・3 銭亀沢で漁獲される主な魚類およびイカ・タコ類