しかし、昭和初期の経済危機が深刻化して、漁民経済が益々逼迫するなかで、組合が漁業者に代わって直接経済行為を担わなければならない状況が生じてきた。昭和八年における漁業法改正は、漁業組合のこのような状況に対応しようとするものであった。この改正で、経済事業をおこなう漁業組合は、出資制をとって経済事業体としての体制を整え、漁業権管理を主な目的とした漁業組合と区別して、名称も漁業協同組合とされた。
政府は、この法改正に基づき、昭和八年から五年間の猶予期間をおいて、漁業組合から漁業協同組合への転換を奨励した。
その結果、北海道では、昭和十年には、二〇組合が設立を完了し、昭和十一年五月には九五組合が設立の認可を受けた(昭和三十二年『北海道漁業史』)。
設立当時(昭和十、十一年)の銭亀沢村の各漁業協同組合の概要は、表3・1・16のとおりである。
表3・1・16 銭亀沢村の漁業協同組合