漁場の祖織としては、一般にヤクビト(役人)として、まず船頭がおり、その下にオヤジ(下船頭、副船頭)、オカの支配人として納屋親方、オカマワリ(オカの雑用係)などがあった。
納屋親方は「何人が釜を焚いて、何人が沖に出る」といったように、その日の仕事を手配した。そのほかはワカイモノまたはワカイシュウというように呼ばれた。分配に当たっては船頭が二人工(ににんく)、オヤジ一人半、納屋親方、オカマワリ一人一分割り増しして分配を受けた。
若い衆は一人工(いちにんく)で、このほか漁の状態によっては「一番若い者」を選び、特別の割り増し手当を支給した。これは、底に引っかかった網をはずすといった困難な仕事をした者に与えるもので、一人当たりイワシタマが三〇配分されればその一割を割り増しすることが多かった。これを決めるのは船頭、オヤジ、納屋親方の相談で、働きのよい若い衆の中から二、三人を選んだ。