目次
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第三章 産業と社会そして人・地域
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第二節 銭亀沢の生産労働
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一 イワシ漁
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地曳網漁
〈魚群の発見〉
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イワシは戸井方面から来るので、戸井に来たという情報を待って古川に来る時期を予測した。長年のカンで潮加減と時間で来る時刻がわかる。陸に近づくのは干潮の時が多かった。
船頭は、潮の具合をみて網をかける時を決める。その時には「月カンジョウ」で決めるといわれ、月と干潮満潮が密接に関係するという。また、カモメの動きでも判断する。川にカモメがたくさんいる時には「居鳥」といって、イワシが来る二、三日前の前兆現象となる。一説にはカモメが魚を食べ過ぎたので川の水を飲むのだという。また、カモメの飛びようでも判断した。そろそろ来る頃だとなれば、樺を焚いて沖で見張る。
図3・2・1 ナカブネ(木村千代吉蔵)