〈ヨミブネ〉

242 ~ 243 / 521ページ
 イワシは、夜に来る場合が多かった。夜間にイワシを見張る船をヨミブネといった。この船には船の中にカベ(粘土)で炉を作ってマキを焚いて暖をとった。
 ヨミブネには下船頭をはじめ四人が乗り、針金で編んだかごで、内地から取り寄せた樺の木を燃やし、海中を見張った。これをカバダシといった。昔はカヤを焚いた。イワシの群は、夜でもカバダシの明かりでよく見え、大群が来るときには、海中に白い壁ができるように感じたという。
 イワシの群を発見すると、木を焚いて廻して合図した。「ヨミブネだぞ」といって急いで出漁した。