ソコヤマデは深いところのイカを釣ったり、浅いところまで誘導するために使用した。綿糸の先に鉛のオモリを付け、そこから鯨のヒゲ(ササメともいう)を二本出して、その先にテグス(天蚕糸)に付けたモガバリを装着した。モガバリは竹製で、イカの生干しを巻き付けた疑似針である。モガ以外に鯨の白身やイカの長足を巻くこともあった。モガはイカを半分に切って皮をむき、針金に張って晩まで乾燥し、漁場に着くまでに竹針に綿糸で巻つけた。
普通のトンボは一〇ヒロくらいまでおろすが、ソコヤマデは二〇から二五ヒロまでおろした。カワサキの頃にはよく使ったが、動力船になってからは、強い照明でイカを海面まで誘導するようになったので使わなくなった。ソコヤマデ用のタケハリ(竹針)はオモリの鉛を付けないで使用した。これに使う鯨のヒゲは大阪から購入した。
図3・2・5 イカツリ具