スルメに加工することを「サカシタ」といった。家族労働でスルメに加工したが、親方はデメン(出面)で処理した。手間代は一日二時間でイカ二〇杯から三〇杯の現物支給であった。
イカの処理をイカサキといった。イカサキはショウフキ(へそ)からマギリを入れてまっすぐ割いて、頭のところで目玉をとってその後ゴロをとる。かつてはゴロは投げ捨てた。割いてからメカゴに入れて洗った。割いた方を上にして縄に掛け、二本の長足をかけて丸まらないようにした。
昼頃まで乾燥し、長足をはずしてひっくり返した。夕方から晩になれば二杯の長足を結んでイカザオにかけて物置に移した。イカザオは長さ六尺で一サオに一五枚くらいかけ、次の日に一日乾燥した。おろして、足をほどいて、その次の日にはスルメを熨した。足で熨して平らにする。スルメは赤くきれいなものが良品で、白く粉が吹けば品質が劣るとされた。