タコはコンブ終了後からニシン場に行く前の十一月から一月末が漁期であったが、イソマワリ専門の漁師は、一年を通しておこなう場合もあった。銭亀沢の主要な磯漁の一つで、鉛の重りにシバリという針を付けたり、ヤス、カギなどを使ってとる。
シバリはカナゴともいい、ガラスで海底をのぞき、タコがいたらこれを舟から海底に降ろす。また、タコの姿が見えなくても大きな岩の近くにカニのカラがあれば近くにタコがいると判断する。こうしたところにはタコアナがあり、アナヤスを使ってタコを穴から追い出し、逃げ出したところを突いてとる。また、出てきそうなところにシバリをおろしておく。
磯から離れた深いところのタコはイサリ引きをおこなった。こうした漁はイソマワリとはいわない。沖に出てイソブネから、一回に四本を引っ張った。イサリにはサケの頭を付ける。引くと重さでタコの付き方がわかった。現在ではイサリをたくさん付けたダマ引き(ダマ流し)をおこなう。ダマ引きでは、三〇ヒロの深さのところに三〇、四〇のイサリを流し、タコがつくとダマが動かなくなるのでわかる。ダマはウキのことで、昔は樽を使った。
タコの種類には、マダコとシオダコ(ミズダコ)があるといわれる。マダコは足のイボがそろっている。また、シオダコはイボが交互についており、一本先の方にイボのないものがある。マダコの方が身がしまっており、ミズダコは柔らかい。