普通船体は、前部、中央部、後部の三部分に分けられる。この名称はオモテ(表)、ドノマ(胴の間)、トモ(舳)と呼ばれる。
船の左舷をオモカジ、右舷をトリカジという名称が一般的であるが、イソブネをはじめ漁船の場合は、作業する側の舷を表、反対側を裏にたとえて、マエフネ、ウシロフネという場合が多い。磯漁の場合、オモテの右舷で作業する場合は右舷がマエフネ、トモの左舷で作業する場合は左舷がマエフネとなる。カワサキセンなど櫓を使う船の場合は左舷がマエフネになる。
船の船首の水切り部分をミヨシ(水押)、船の船尾の押さえの部分をトダテ(戸立)という。トダテの後ろには舵(現在は船外機)を取り付けるトコ(床)がある。
イソブネの内部に装着する肋骨様の材をアバラという。カワサキセンなどの大型船では補強材としてアバラの代わりにフナバリを入れる。タナイタの上部を補強するため取り付ける部材をコベリ(小縁)という。タナイタの外側に付くのがソトコベリ、タナイタとソトコベリの上に取り付けるのがウワコベリである。
船を引きあげる時に、ロープを結んだりする横棒をカンヌキという。カンヌキにはオモテカンヌキとトモカンヌキがあり、帆を使用したときには、帆柱を立てるコシアテ(腰当)があった。これらは総称してヨコモノ(横物)といった。
図3・2・8 イソブネの断面構造