この節は、銭亀沢社会の社会組織の構造とその歴史的な変化を描き出すことを目的としている。地区内の社会諸集団のあり方やその変容を、地域社会をとりかこむより大きな社会の経済構造の変化と関連させつつ、記述してみたい。
銭亀沢村は、昭和四十一(一九六六)年十二月一日に函館市と合併をした。この合併によって、それまでの村の行政記録の大半は散逸してしまったらしい。このため、今回の地域社会の再構成とその変化については、地区の老人の方々からの聞き取り調査、新聞記録やそのほかの文献記録の調査に依存せざるをえなかった。不十分な情報しか収集できなかった項目もあることを明記しておきたい。