シビ布団・藁布団作り

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 昭和四十年くらいまで、敷き布団の下にはシビ布団や藁布団を敷いた。シビは藁より細くしなやかなので布団にするとふわふわしており、藁布団より上等であった。
 秋になると、草丈四〇から五〇センチメートルになったシビを刈りに行き、束ねてしょってきたものを何日も干して乾燥させ、古い布団皮を仕立て直した中に入れた。シビは綿に比べ布団皮の中に入れずらいので、真ん中に三尺ぐらいのあきを付け、あきの両端にはそれぞれ二本の紐を付けて結んだ。シビを入れたての布団の高さは、三〇センチメートルくらいにもなり、ふわふわしてとても寝心地が良かった。藁布団はシビ布団より硬く、あまり高くなかった。年に二回くらい春や秋に布団からシビや藁を出して乾燥させ、詰め直した。シビ布団や藁布団は昭和三十五年頃のマットレスの出現により、だんだんとその姿を消していった。
 一般に寝具類は明治、大正、昭和にかけて、ほかの衣類に比べ大きな変化は見られなかったが、昭和三十五から四十年頃のマットレスやベッド、さらに化繊綿の出現やミシンで大きくキルティング状に縫った化繊布団、昭和六十年頃から出回りだした羽毛、羊毛布団、また、専門業者による寝具の丸洗いなどは、これまでの寝具に対する考え方や形態を大きく変えたといえる。