死の直後、死者には新しい浴衣を着せ、上に一番良い着物や死者が好んだ着物などを掛けた。その後死者には、白い晒布三反を使い、身内が集まって作った死に装束を着せた。この死に装束を作ることを「白を縫う」といった。
仕立て方は単衣長着の要領で、袖丈は裁ち切り一尺五寸(約四五センチメートル)くらい、身丈は足が隠れる裁ち切り五尺五寸(約一六五センチメートル)くらいの長さにして、袖から下は縫わず、白木綿糸を使い返し針は一切しないで作った。結び目は、作る場合と作らない場合があり、作らない場合は糸を約二センチメートルくらい残して縫った。肌着と羽織も晒で作ったが衿は長着と一緒に付けた。足袋も晒で脛半分くらいの長さにし、紐を付けて足首で結んだ。脚絆、小手、褌も晒で作り、かぶり物としては三尺(約九〇センチメートル)くらいの長さにした晒を顔にかかる部分は少し折ってほおかむりにさせた。またズダ袋、米入れ、血脈(死者の身分証明書で骨納めの時、最後にお骨の上に乗せ墓に入れる)を入れる袋、エンマババ(あの世で悪魔に捕まった時、これを死者の身代わりにして逃げるようにとされた着物の雛型様のもの)も晒で作った。エンマババは、首を捕まれた時逃げられるようにと白の衿に縫い付けられた。
これら死に装束の作り方は現在も同じようになされており、作り方は年寄から若い者へと申し送られている。