紐付き足袋と足袋の下刺し

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 コハゼのなかった頃は、足首に紐を付けた紐付き足袋を自分で作って履いた。表地は黒か紺色でワラジカケより薄手の柔らかい木綿地を使い裏にはネルを付けた。これは昭和初期頃まで使われていたが、コハゼが出回ると形も現在の足袋と同じようになった。足袋は呉服屋でも売っていたが、たいていは自分で作った。甲の部分の裏は白ネル、表は縞柄の木綿地などを使いコハゼは三つ、底は天竺を使ったが丈夫にするため、木綿糸で一分くらいの間隔に刺した。足袋の下刺しは女性の冬の仕事、夜なべや暇を見つけてはおこなった。下刺しをしても足袋は底がよく切れるので切れると底だけを取り替えて履いたという。