着物類は古くなるとほぐして洗い張りをして布の傷みが同じ所に片寄らないように工夫して仕立て直した。洗い張りの方法は、洗った布に糊を付け、板に張りつけて整えて干し上げる板張りである。秋になると、どこの家でも洗い張りをするので張り板が並んだ。
衣類の糊付けには、二月から六月くらいの間に浜で採取したミミノリを洗う→晒す→乾燥する工程を何度も繰り返して白くしたものを鍋で煮て汁ごと手拭や晒の袋に入れ、糊汁を絞りだして使った。フノリは絹などの高級なものに、シーツなどにはママノリ(残りご飯)を袋に入れて使った。ミミノリやフノリはよく乾燥させて保存し何年も使った。また、水仙の球根をすり下ろして晒の袋に入れ、銘仙やメリンスの場合に使ったりした。これらは、市販の糊が出回り始めると次第に使われなくなった。