秋の日常食

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 朝食の基本は一汁一菜で変わらなかった。昼食はイモ・カボチヤが主食である。ストーブの横に砂利を置き、その砂利に、秋にとれたイワシを、六匹ほど横にして差して立てて焼いたものや、ストーブの上にホタテ貝の殼をおき、その殼の上で焼いたイカの塩辛をイモと一緒に食べた。ストーブがない時代は七輪のうえに網をおき、その上にイワシをのせて焼いたものなどと一緒に食べた。
 おやつには、銭亀沢でとれたバレイショ(イモ)と交換したサツマイモを、蒸して食べた。また秋にはアジウリ(メロン)が畑になるのでおやつとして食べた。
 夕食には三平汁を食べたが、秋になるとイワシがよくとれるのでイワシの切り込みを入れた。また、昼に食べ残したイモやカボチャは、すりつぶして、デンプンを入れて固めてイモ餅やカボチャ餅にして、イワシでダシをとり、醤油で味付けした汁に、キャベツなどの野菜と一緒に入れて煮て、ダシ餅として食べた。煮付けには、秋によくとれるアブラコやイシモチガレイを用いた。イシモチガレイは刺身にしてもおいしい。秋は、大根などの秋野菜がとれるのでこの時期に大量に一年分の漬物を漬け込んだ。また、秋の収穫物は、キミ・大根・そばなどが主なものであるが、ウルキミは皮をむいて一〇本くらいずつ皮の部分を束ね、五本ずつ開いて、ハセにかけて干した。干し上がった実をはずし袋詰めにして函館の雑穀屋に売り、そのお金で味噌用の麹を買った。大根は山ブドウの実を入れた大根ナマスにして食べた。