春の行事食

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 三月三日の雛祭りには、赤飯、ちらしずし、いなりずし、煮しめを作った。いなりずしやちらしずしは最高のご馳走であった。ちらしずしの具はかまぼこ、人参、卵、カンピョウ、シイタケ、ノリ、紅ショウガである。仏様のものはかまぼこと卵を除いた。シイタケは秋に山で採り、塩漬けにしておいたものである。いなりずし用のすし飯にはカンピョウとシイタケを混ぜ込んだ。
 春彼岸にはおはぎとまんじゅうを作った。まんじゅうは紅白で大きさは直径七、ハセンチメートルで、米粉を材料にした。
 四月八日にはヨモギを摘み、米粉とよくこねて、ヨモギ餅でふろしき餅を作った。春には新しいヨモギが採れるのでよくヨモギ餅を作ったが、採ったヨモギは乾燥させて貯蔵し、正月にも使った。
 五月五日の節句には、前日から女たちが三、四人集まって臼で米粉を搗いてべこ餅を作った。べこ餅の黒い部分は黒砂糖で、白い部分は白砂糖を混ぜる。煮しめも作った。後に、この日に運動会も開くようになった。