〈たんきりあめ〉

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 正月に、津軽あめが三キログラム入った直径一尺くらい、高さ四寸くらいの樽を肥料と交換して入手した。このあめは硬いので、ストーブなどの火のそばにおいて軟らかくしてから、手でとって延ばす。これを何回かくり返す。延ばしている中に空気が入り白くなる。それをまな板の上にとって一口くらいの大きさに切って、片栗粉をまぶす。この一連の作業は家長の仕事であった。子どもたちは側でじっと眺めて、そのたんきりあめをもらった。これはとても高級なおやつであった。