除夜の鐘が鳴り終わり、新しい年を迎えると氏神様へその年の幸福を祈願するため、「初もうで」に出かける。お神酒や一重ねの供え餅を供えて参拝する人もいる。
神社参拝の際は、戦前はお参りが終わるまで知人に出会っても挨拶をしない、言葉をかけない、また返事もしないという風習があった。これは声を出すと「福が逃げる」と信じてみんなが守っていたからといわれる。
稲荷神社は漁業の神として信仰を集め、参拝する人も多い。
新湊町の「奥の院」では、大晦日の夜、漁業経営の親方は、神前にお神酒・赤飯・油揚げ・ろうそくを三方にのせて供える。元旦の朝に供えた油揚げをとり下げて、そのようすをみて、その年の漁の豊凶を判断したという。油揚げ占いは、鰯漁の盛んであった昭和二十八年頃までおこなわれたが、一回だけでなく年に何回も占ったという。鰯漁の不振とともにおこなわれなくなった。