観音講とは古くからおこなわれてきた行事であり、本州からこの地に移住してきた人が持ってきて拝んでいた観音様がいつしか村全体の信仰になったものといわれている。現在はお寺の住職が祈祷しているが、お寺がまだなかった頃は「イタコ」が祈祷していたという。
古川町では大正時代よりおこなわれていて、現在も継続されている。一月十七日の夜、町会会館に、銭亀沢管内の六つの寺院より僧侶を招き、無病息災を祈る。
観音講は、読経に合わせ長さ九メートルの特大の数珠を手送りして回し渡す。数珠が回ってきて、体の悪い箇所に当てると、回復するといい伝えられている。この日のために、当日までに餅をつき、お供えを作り、共同で準備して作ったご馳走をみんなで味わうのである。参加者は女性のみで、町内のほとんどの女性が出席し、カラオケや踊りなどの余興をして楽しくひとときを過ごす。
志海苔町では、昭和十年代頃は、流行病がまん延した時には、みんなが大きな数珠を、念仏を唱えながら、隣の人へと順送りに手渡し、早く治るように祈ったという。