節分

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 夜になると各家庭で豆まきをする。その家の主人が豆を煎ったが、そのとき口をきいてはいけないといわれてきた。
 神棚にお神酒と煎った豆を、仏壇にも豆を供える。拝んだ後に豆を下げる。家の窓を全部開けて豆まきをする。
 「福は内、福は内」と二回、「鬼は外」と一回唱えながら、神棚のある部屋から豆をまき、その後、玄関から屋外へ、また窓や裏口など出入りできる場所から外へ向けて豆をまく。
 豆まきをしている間は、家族は外へ出てはいけない。また家族が不在のとき、豆まきをするとその人に災害が及ぶといわれていて、外出している人が家に帰って、みんな揃ってから豆まきをするのがよいといわれてきた。古川町では、家族の中で出稼ぎにいく人がいると、出稼ぎにいく前に豆まきをしたので、二月にやらないで、正月にやったこともあったという。
 かつては豆まきが終わると「豆占い」をした。炉の灰の上に、一二個の豆を並べて置き、豆の焼けぐあいをみて、白く焼けると豊作や豊漁、黒く焼けると不作や凶漁というように、収穫や月毎の天候を占った。この占いは、おもに農業を生業としていた家でおこなわれた。節分のときの豆はまた災難よけになるといって、自分の年齢の数だけ豆をとって食べたり、お守りにするといって、自分の身につけたりする。節分の豆をとっておいて、風水害の際にまいたりした記憶がある人もいる。