結婚相手を探しだし両家の仲立ちをする世話人をハシワタシといって、世話好きの年配者で、地域の事情に精通している人があたった。ナカド(仲人)には、このハシワタシがそのまま務める場合と、改めてほかの人に依頼するタノマレナカド(サカヅキナカドともいう)とがあった。仲人は夫婦で務めるのが仕来たりになっているが、昭和のはじめ頃までは男二人で仲人を務めることがあり、そのときは婿・嫁双方から一人ずつ出すこともあれば、二人とも婿方からということもあった。
結婚の話し合いは一回では決まらず、ハシワタシやナカドが何回も両者の間を往復してまとめた。親同士が決めた話でも二、三回交渉して決まったという。何回かの交渉の結果、これでよしとなるとナカドが羽織・袴に婿の家の家印のついた提灯を下げ、一升瓶を持って、嫁の家に挨拶に出掛け、一杯飲みながら結納の日取りなどを決めた。これをキメザケといった。