死の予兆

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 人が息を引き取る寸前には、ふだんと違う現象が起こるという話をよく聞く。死の前兆とされるもので、その中で最も多いのが、カラスに関することである。
 カラスがふだんと違った鳴き方をすると、「カラス鳴き悪いからちかぢか死人が出る」といわれたり、墓参りに行って供物を上げてもカラスが出てこなければ近く不幸があるという。また火葬場で骨上げが終わってロクマイ餅をちぎって投げたとき、「団子食いカラスが鳴けば誰か死ぬ」などともいわれた。
 その他「人は死ぬ前になると魂が体から離れて出歩くものだ」といわれ、「夢枕に立った」「玄関の戸が開いて人の入ってきた気配がしたが誰もいなかった」などと、これらはみな死を予感するものだといわれてきた。