息を引き取ると死者の顔に白い布を掛け、頭を北にして寝かせ(北枕)、回りに屏風を逆さにして立てた。体が硬直しないうちに胸の上に手を組ませ、掛けた布団の上には魔除けに剃刀や包丁、鎌などの刃物を乗せておいた。
枕元には小さな台または机を置いて、白い布を掛け「枕飾り」を設けた。宗派によって多少の違いはあるが、燭台、線香立、シカ花水、鈴(りん)を置き、故人が使用していた茶碗に飯を盛り箸を立てた一杯飯(一膳飯)や枕団子を供えた。枕団子は湿した米を粉つき臼(女臼)に入れテキギ(竪杵)でついて粉にして作った。神棚は死のけがれを嫌うといって半紙を張って封じた。支度ができると僧侶が枕経を上げた。