高校生が語るうわさ話‐お化けトンネル

439 ~ 440 / 521ページ
 従来、昔話や世間話の語り手はお年寄りであった。今は子どもがお年寄りから「むがしむがし…」と昔話を聞く機会は減ったが、小・中・高校の児童・生徒は実に豊かで多彩なうわさ話の世界を保有し、学校を舞台に繰り広げている。話の内容は多岐にわたるが、子ども同士の共通の話題として息づいている。生活の変容が昔話を語る時と場所を変えた。子どもはテレビ・雑誌から大きな影響を受けているのは事実だが、うわさ話の中に思いがけない出来事やふしぎな未知の世界へのあこがれや欲求を秘めているように思われる。銭亀沢地区に住む女子高校生が語るふしぎなうわさ話の一部を紹介する(久保孝夫『津軽海峡圏の昔話』平成五年)。
 
 飛行場の近くに古くて昼間でも気味が悪いトンネルがあります。そこのトンネルを通ると不思議に怖いことが起きるのです。ある人が夜に車で入ったら途中で急にエンストが起き、エンジンをかけて進んでいると、トンネルの中からシャキシャキと車輪の音が響くのです。ふとバックミラーを見ると、なんと目を青色に光らせて三輪車に乗った子どもがつかず離れずに追ってくるそうです。また、このトンネルの入口で、大人の男性が首つり自殺をしたそうです。その霊がとっても強いのか、あのジンさんカンさんが来てお参りをしていったそうです(三国美紀、吉田由紀談)。
 
 函館空港のトンネルの怪談は子どもたちの間ではよく知られているようだ。霊感を感じるのはこのトンネルでなく戸井線の汽車線路の跡からで、道路を作る時に人柱が入った。おそらく日本人でなく他国の人だったかもしれない。たこ部屋があったからという話もある。