遊びの伝承と変容

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 年寄りが子ども時代を過した大正時代から昭和の初めの頃、銭亀沢地区におこなわれていた遊びについて、その実態を把握すると共に、戦後の急激な社会変動の中で子どもの遊びがどのように変容をしたのかを三世代にわたって調査した。
 銭亀沢地区の子どもの遊びについては、テーマとして、
  ①遊びの伝承と変容…銭亀沢地区における三世代の遊び
  ②遊びの興亡…三世代の遊びの興亡
  ③遊びの内容…室内・屋外と折々の遊び
を掲げた。調査の結果は表4・6・3~5の通りである。
 戦前・戦後の子どもの世界では、地域社会の生活共同体を基盤に遊びの集団が形成されていた。年長のがき大将がいて子どもたちに水遊びや虫捕り、パッチや竹とんぼ、石けりなどの約束事や技術を継承した。年齢も異なっていたからタテ集団の中で協調性とか掟とか自分の役割などを身につけていったのである。
 一九六〇年代の高度成長期の中で、子どもたちの日常生活は豊かな商品で彩られることになるが、遊びの集団はバラバラに解体していった。都市化が進み、核家族、マイホーム主義の進行で子どもの数がめっきりと少なくなり、隣近所の子どもと遊ばない。地域の原っぱや路地裏で群をなして活発にとびまわる光景はほとんどない。子どもは塾やおけいこごとに行かないと友だちに会えないことになる。さらに一九七〇年代後半から八〇年代にかけてのテレビゲーム、ファミコンブームは子どもたちの遊びの形態を全く転換してしまった。今日では容易にパソコン(パーソナル・コンピューター)を操作することが可能になり、ゲームやワープロ、パソコン通信を楽しむ子どもたちも増大している。

表4・6・3 銭亀沢における三世代の子どもの遊び


表4・6・4 三世代における遊びの興亡


表4・6・5 遊びの内容