動物の動作や鳴き声、草木の変異、自然現象の変化などから将来のできごとを予兆するもの、卜占めくもの、禁忌から呪術といったものまでに及んでいる。これらは先祖が長い間の経験の積み重ねや、思いつきなどから生み出したものが大部分で、科学的な因果関係のないのが普通であるが、ことわざ・俗信は思いのほか世間では信じられ、根深いものをもっている。その土地の風土が住む人びとの思考・行動様式に影響を及ぼすものと考えられる。
農作物の豊作を願って、「雪が多くしばれた年は畑の虫も死んで豊作になる」といい「寒中雨降れば不作」と心配する。「カッコウ鳴けば豆蒔く」天気に左右されるので、「くもの巣が上に出ると天気、下がるときは雨になる」「ゴメのエンドッコ、時化の前触れ」「猫顔洗えば雨降る」という。とろろコンブ売りや金魚売りが来ると「雨降る」とうわさし、「ワラハンドさわげば雨が降り漁ない」という。「ゴメの高上がり、ヤドイの盆(時化るから仕事休める)」というのは昔の話である。豊漁祈願として「法華寺の寺参りは一粒でも雨降ると大漁になる」といい、「ゴメがさわげば漁ある」「ゴッコ来ればイワシ大漁だ」「蛇の夢見れば漁いい」「虱の夢見れば漁ある」といった。