生物季節

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 道南地方の自然環境の中で、われわれが日常目にする樹木・野草や鳥獣・昆虫の生活を観察すると、彼らが四季の移り変わりに敏感に左右されていることが理解される。そして、われわれ人間は植物の発芽・開花・紅葉と落葉、鳥獣の初見・初鳴きにもののあわれを感じたり、疲れた心を癒されたりもする。このようなある限定された地域での動・植物の生育と活動を指標(しひょう)とした「生物季節」は、函館では1913年(大正2年)の測候所時代から観測されている。そして、この観測には、樹木・野草の発芽や開花などを観測する「植物季節観測」と、動物の初見・初鳴きを観測する「動物季節観測」とがある。
 表2.10(函館における生物季節・気候表)は、函館における1961年(昭和36年)〜1990年(平成2年)の30年間の植物季節観測と動物季節観測に季節変化を示す主な現象の平均値(平均日)を入れた気候表である。平均値とは、札幌管区気象台(1991)によれば、30年間に24年以上観測値を求められたものをいい、8年以上24年未満の観測値の場合は準平年値として表示する。表2.10では、準平年値も平年値と同様に扱い作表したものである。

表2.10 函館における生物季節と、季節変化を示す気候表(統計期間1961~1990年)
注)1 この表は札幌管区気象台(1991)および上磯町史(1997)の函館海洋気象台の資料に基づき作成した。
2 植物期間は日平均気温が5℃以上の期間をいう。
3 生物期間は日最低気温が5℃以上の期間で、動・植物が、休眠から覚め、活動する期間といわれる。この期間の入りは作物の播種や桜の開花の目安とされている。
4 この表で根雪とは1㎝以上の積雪が長期に継続した期間をいう。