従来海洋現象を観測するには、船舶による観測網を設定して1隻、もしくは複数の船舶が同時に実施し、そして時空間的データを確保してきている。この観測体制は鉛直方向にも収集能力があるのが特徴である。
これに対して、水平方向に、より広範囲に、しかも時間差が少ない同時性の高いデータを得る方法として最近では、衛星観測によるデータ収集が可能になってきている。日本気象協会(JWA)は1984年より気象庁の事業を補完する役割の一環として気象衛星NOAA情報のサービスを行ってきている。さらに1992年よりデータ処理能力の大幅な向上や価格の値下げ等を行っている、とのことである(ノア衛星データ利用ハンドブック、1992年、日本気象協会)。
そこで従来の観測手法に加えて、このリモート・センシング技術を利用して海洋気象の時空間スケールを考慮した観測を組み合わせることにより漁場形成機構の解明や漁海況予報に大きな期待がもたれる。