図4−6の下図にクロロフィル−aの観測ラインWT−3の表層における月変化を示す。
海峡の表層全体が津軽暖流水で覆われていた1月は全点で0.5μg/リットル以下と低い濃度を示す。2月は津軽暖流水域に比べ親潮系変質水域の方が低いもののそれほど大きい差は見られない。3月になると親潮系変質水域では栄養塩類濃度が春季ブルーミングで低下したのに対して、クロロフィル−a濃度は10倍近くにも高くなっている。
これらの事実は、3月には表層からの光の供給や水温の上昇により、親潮系変質水域内で春季ブルーミングが起きたことを示唆している。
以上のようにフロントを境界として物理的、化学的、生物的な特性の違いが顕著に現れている。フロントが生物生産に何らかの影響を与えているのは間違いない事実であろう。