(2)流向・流速の月変化

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 同じ図4−7、8、9、10、11に1、3、6、8、10月の水深5メートル、30メートル、50メートルにおける流向・流速図(d)を示す。この図も12点の観測ラインWT−3(観測点No.301〜312)から得たものである。ただし、流向・流速の3月に関しては30メートルのみであり、また水深が300メートル以上ある観測点309から311にかけてのデータは対水モードなので信用性に乏しい。
 
 1月の場合
 流向流速は水深が急激に深くなる観測点308より南側でSE方向に強くなっている。しかし北海道側の水深100メートル以浅ではNE方向に流れている。下風呂側の観測点312付近には、津軽暖流水の補償流と思われるNW向きの流れがある。また深さ別に注目すれば、表層よりも水深が30,50メートルの方が流速が大きい。
 
 3月の場合
 また、フロントの南側の津軽暖流域ではSE方向に流速が早くなっているが、1月から5月までは、せいぜい3ノット程度である。水深が30メートルのデータしかないので水深別の比較はできない。
 
 6月の場合
 フロント域の南(観測点305)の津軽暖流水域で広くSE方向に流速が速くなっている。北海道側でも同じようにE方向に流れているが、流速は相対的には小さい。また深さ別では、やはり表層よりも水深が30,50メートルの方が流速が大きい。
 
 8月の場合
 津軽暖流水の勢力が強いことから、流速は流れの中心部で観測期間では最高の5.4ノットに達していた。また流速の速くなるところは底層フロントの南端(観測点305)と一致していた。北海道側では、流速は小さいものの反方位的にSW方向である。下風呂側は、津軽暖流水の補償流と思われるNW向きの流れがある。
 
 10月の場合
 10月になると大気からの熱の供給が小さくなり、密度成層がやや弱まる。流速ももっとも速いときで3.2ノットと小さくなるが、卓越流は水深が浅い北海道側に移る。そして流速が速くなるところと北海道側の観測点303に見られる底層フロントの位置とは8月と同様に一致していた。