(3)海底にも現れるフロント

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 水塊特性の層重構造を調べるために、1990年のうしお丸による観測で得られた資料をもとに、表層から海底までの鉛直方向に10メートル毎の水温、塩分の値を用いたT−S図を各月3組ずつ作成した(図省略)が、これらから以下のことが判明した。
 北海道沿岸沿いに親潮系変質水が流入している2月から8月にかけて、親潮系変質水と津軽暖流水の間の表層にフロントが形成されていた。このフロントは、津軽暖流水の流れの勢力の増加とともに月を追うごとに北偏し8月には北海道のごく沿岸にまで押しやられる。しかしこの8月から1月にかけては表面のフロントと入れ替わるように北海道寄りの陸棚部の海底に底層フロントが現れた。この底層フロントは津軽暖流水と親潮系水とが混合した水と津軽暖流水との間に形成されていた。またこのフロントと同時に観測点310の底層には親潮系水と津軽暖流水との混合でできた水塊が見られた。