津軽海峡を一般的に流れる図は第3節に示した。津軽海峡には西から東に走る津軽暖流がある。ただ恵山岬から汐首岬にかけての沿岸部には、太平洋の寒流の親潮が流れ入り、そこだけが寒流地域となっている。また、津軽海峡内の1日の平均流は津軽海峡を挟む日本海と太平洋との平均海面高の差から、東向流が卓越すると考えられていて、太平洋の水は海峡東口の北海道岸恵山岬から汐首岬の間に、海峡中央部の強流に対する補償流として西向きに流れるのみと思われていた時期があった。
しかしながら海峡の北側、すなわち道南側では汐首岬にとどまらずさらに西進している場合があった(〈文献1〉)。