(1) 海の植物

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 海藻とは、肉眼で確かめられる大きさの海に生えている藻のことをさす。形は、体形は1枚または何枚かの葉、薄い膜状、線状、紐状、玉状…、穴のあいたもの、体に空気をためて浮くもの、幾つかの形を組み合わせたものなど、さまざまである。1ミリメートルほどの小さい体から数10メートルになる巨大なものまであり、体の表面はつるつるしていたり、ネバネバ、プヨプヨしている。みかけが葉、茎、根の形に分かれているようにみえても内部組織はよく似ている。海藻は、海水から栄養素を吸収して育ち、花を咲かせることや種子をつけることがないかわりに、さまざまな胞子の種類をつくり、また体の一部から完全な植物体にもどるものもあり、何通りかの生殖方法をもっていて増えることができる。
 陸の植物ならば葉の色というのは、まず緑があたまに浮かぶ。しかし海藻の葉の色はそれだけでなく、他に赤、黄、茶、紫、黒など様々にみえる。いろいろな海藻の体を顕微鏡で拡大してみると、細胞はレンガをしきつめたような配列や細長い管をつないだり束ねたりした構造になっている。そして種類ごとに細胞の色は、薄茶、赤、緑のどれかであることが判る。このように海藻は細胞の色にしたがって、褐藻(かっそう)(ブラウン・アルジェ)、紅藻(こうそう)(レッド・アルジェ)、緑藻(りょくそう)(グリーン・アルジェ)という3グループに大きく分けられている。
 どの海藻も太陽エネルギーを利用して光合成を行い、細胞内には光合成を行う装置である葉緑体を持っている。主要な光合成色素のクロロフィルaは共通に存在するが、補助色素の構成は、褐藻がクロロフィルc、紅藻がクロロフィルd、緑藻がクロロフィルbで少し違う。緑藻はクロロフィルなどの緑色が直接現われる。褐藻ではフィコキサンチン(黄褐色)やカロチン(黄色)、紅藻ではフィコエリスリン(赤色)などの色素が細胞内に大量に含有するため緑色がほとんど目立たず、褐藻は茶系、紅藻は赤系に見え、それらの配分によって葉は独特な色調となる。