図6-8
図6-9
図6−8、9に7月における海藻の現存量を示した。第1調査域の1平方メートル当りの現存量の単純平均値は2,369.1グラム、第2調査域のそれは4,275グラムであった。第1調査域の現存量の最高値は6線−200メートル地点(水深13メートル)で1平方メートル当り20,526グラムと主にマコンブより得られた値であった。漁場全体を距岸距離ごとにみると、沖出し250メートルまでの現存量は約2.5キログラム/平方メートル、それ以遠は約0.8キログラム/平方メートルとなり、陸側の現存量の高いことが窺える。また、定線別に現存量をみると1平方メートル当り865.6〜3、366.3グラムの範囲にあり5線から8線にかけてその値は他の線と比較してやや高いようであった。
図6-10
図6−10は第1調査域の調査地点を距岸300メートルまでに限って模式的に現存量を緑藻、褐藻、紅藻と顕花植物に分類して示したものである。緑藻植物はアナアオサが主な出現種類であり、この分布領域は極めて狭く、その平均現存量も1平方メートル当り0.5グラム(範囲0〜359)であった。一方、褐藻植物の分布領域は広く、マコンブ、チガイソ、ガゴメ、スジメとアナメなどにより、平均2,286.3グラム/平方メートル(0〜10.8キログラム)と非常に高い値であった。紅藻植物は単純平均で457.3グラム/平方メートル(0〜1、580グラム)と褐藻植物に次いで高く、分布領域も広く、一様分布の傾向が認められた。また、スガモは平均161.6グラム(0〜8.093グラム)であったが距岸200メートルまでの現存量が高かった。砂底質を除く出現頻度から海藻をみれば、89.1パーセント(114/128枠)に出現した。さらに分類別にみると緑藻植物が5.5パーセント(7/128枠)、褐藻植物82.0パーセント(105/128枠)、紅藻植物が75.8パーセント(97/128枠)、スガモが15.6パーセント(20/128枠)であつた。このように、距岸300メートルまでの出現頻度は褐藻と紅藻植物が非常に高い。
第2調査域は距岸0メートル付近で水深3〜5メートルと急深になっている。汀線にはチガイソ、ガゴメ、エゾツノマタ、クシべニヒバ、ハケサキノコギリヒバやスガモなどが生育し、距岸25メートル以遠はガゴメ、チガイソ、ハケサキノコギリヒバのみとなる。現存量の単純平均値は約4.3キログラム/平方メートルであるが、このうち、褐藻類が95.7パーセント、紅藻類が1.1パーセント、スガモが3.2パーセントを占める。しかし、今回の調査ではマコンブの分布は全く認められなかった。
表6-10 日浦地区の主な優占海藻の出現状況
出現頻度:出現回数/調査枠数×100
相対出現頻度:出現回数/総出現枠数×100
図6-11
第1調査域に生育していた海藻のうち、出現頻度5パーセント以上に限り、優占順位をみたのが表6−10である。これから、ハケサキノコギリヒバが54.2パーセントとなり、最も広い領域で生育し、優占種とされた。次いでガゴメ、スジメ、チガイソと優占順位が続き、マコンブの出現順位は7位にあった。この漁場の優占順位にもとづき、有用3種(マコンブ、チガイソ、ガゴメ)とハケサキノコギリヒバを含む6種について、距岸300メートルまでの水平分布模式図を図6−11に示した。これと表6−10から分布領域(距岸300メートルまでの出現数/総出現数×100)を求めるとマコンブは97.0パーセント(32/33枠)、チガイソは100パーセント(39/39枠)、ガゴメは63.3パーセント(57/90枠)、ケウルシグサは71.1パーセント(27/38枠)、アナメは34.2パーセント(13/38枠)とハケサキノコギリヒバは74.2パーセント(72/97枠)となる。このようにチガイソは距岸250メートルまでに分布領域をもち、マコンブは距岸300メートルまでにほとんどが分布し、他の海藻もアナメを除いて距岸300メートルまでが現存量の3分の2以上を占める生育領域であった。
マコンブ、チガイソとガゴメの距岸別による葉長、葉幅、葉重量と肥大度(g/cm2×1,000)の組成を比較してみたら、2年生マコンブは距岸100〜200メートルにかけて分布していたが、葉長、葉幅、葉重量については特徴的な傾向はなかった。チガイソは距岸100〜150メートルにかけて大型の個体が多かった。しかし、距岸225〜250メートルにかけては茎部のみの個体が多く目立った。ガゴメは葉長、葉幅と葉重量について特徴的な傾向は認められなかったが、肥大度は距岸150メートル以遠で100以上を示し、実入りの良いことを示した。