(6) 深海で生まれるドンコ

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 海釣りの外道としてあげられるドンコ(エゾイソアイナメ)、この魚を使ったドンコ汁の味は格別である。身は柔らかく肝臓はタラよりもきれいな脂を含んでいる。三陸地方ではスケソより人気があるらしい。このドンコ、ごく当り前に沿岸で釣れる魚だが、どれだけたくさんのドンコを調べても成熟した魚は1尾も発見できない。ところが、この稚魚が常磐沖のマイワシ稚魚採集の際に見つかった。その後、水深1000メートル近くの深海トロール調査でようやく成熟したドンコが採集できた。沿岸で数年間かけて成長した大型のドンコは、秋深くにいっせいにはるか南の深海の産卵場に移動していくことが判った。磯や港で釣れる割には、確かに深海魚の風情(ふぜい)をしているではないか。南で生まれた稚魚は成長しながら太平洋を北上する流れに乗って、三陸沿岸や津軽海峡などの沿岸に生活の場を見つけているようだ。