これまで北海道で最も古いとされてきたのが、後期旧石器文化に含まれる約2万1千年前頃のナイフ形石器である。千歳市祝梅三角山遺跡や丸子山遺跡などの古砂丘上で発掘された、黒曜石の剥片からつくられたナイフ形石器(第4図)や斧状石器、エンド・スクレーパーで代表される文化である。祝梅三角山遺跡の遺物包含層から採取された木炭の放射性炭素年代から、ナイフ形石器は約2万1千年前頃のものであることが知られている。吉崎(1994)は、ナイフ形石器を特徴とする文化は本州日本海沿岸地域で発見されている初期のナイフ形石器に共通する性格を持ち、同じ文化圏に含まれていたとしている。
第4図 ナイフ形石器(千歳市三角山遺跡)
吉崎昌一ほか『祝梅三角山地点』1974