総代人選挙法・総代人心得 (明治13年7月8日改定)

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 総代人選挙法
第一条 各町村デ総代一名若クハ二名ヲ置テ町村総代人トシ、各郡ニ総代人一名若クハ二名ヲ置テ郡総代人トス、尤郡町村ニ置イテハ定員ノ二名ヲ撰挙スベシ。
第二条 総代人タルヲ得ベキモノハ、満二十年以上男子ニシテ、其郡、町村内ニ一ケ年以上住居シ、中等以上ノ身代ニシテ、管内ニ不動産ヲ有スル者ニ限ル。
第三条 総代人ヲ撰挙スルコトヲ得ベキモノハ、満二十年以上男子ニシテ、其郡、町村内ニ一ケ年以上住居スルモノニ限ル。
第四条 左ノ各款ニ触ル者ハ撰挙人及ビ被撰挙人タルヲ得ズ。
    一、風癩白癡ノ者。
    二、官吏、教導職。
    三、懲戒令ニ依リ免職二年以内ノ者及ビ旧法ニ依リ、除族 若クハ禁獄一ケ年以上実決ノ法ニ処セラレタル者、新法ニ依リ軽重禁錮一ケ年以上ノ刑ニ処セラレタル者。
第五条 撰挙ノ事務ハ其撰挙部内ノ戸長(戸長役場無之地ハ郡役所、以下ニ倣ウ)ニ於テ担当シ、投票用紙ハ郡長ヨリ付与スベシ。
第六条 撰挙会ハ戸長役場ニ於テシ、其日時等ハ戸長ニ於テ之ヲ定メ郡内ニ公布スベシ。但便宜ニ依リ役場外ニ於テ撰挙会ヲ開クコトヲ得ル。
第七条 撰挙ノ投票ハ、予定ノ日、被挙人及ビ自己ノ姓名ヲ記シ印ヲ捺シテ戸長ニ差出スヘシ。
第八条 戸長ハ撰挙人ノ面前ニ於テ開封シ其多少ヲ検シ、最多数ノ者ヲ以テ当撰人トシ、同数ノ者ハ年長ヲ取リ、同年ノ者ハ籖ヲ以テ之ヲ定ム。若シ法ニ於テ不適当ノ者アル時ハ、順次多数ノ投票ヲ得タル者ヲ挙ゲ、本人並撰挙人ニ示シ、了テ当撰人名簿(族籍姓名年齢ヲ記シタルモノ)ヲ作リ郡長ヘ差出シ、郡長ハ名簿ニ就キテ之ヲ撰任ス。尤総代人ハ受書差出ノ日ヨリ其任務ニ従事スルモノトス。但当撰人ノ姓名ハ郡長其郡内ニ公告スベシ。
第九条 総代人ノ任期ハ満二年トシ、毎年ソノ半数ヲ改撰スベシ。但満期改撰ノ節ハ前任者ヲ再撰スルモ妨ゲナシ。
第十条 総代人任期内ト雖其区域外ニ転住スルカ、第四条ノ各款ニ触ルルカ、又ハ事故アリテ退職スル者アルトキハ、之ニ代ル者ヲ撰出スベシ。尤其撰挙ノ手続ハ総テ前各条ニ拠ルモノトス。
 
 選挙人心得(職務)
第一条 郡町村総代人ハ、明治九年十月第百三十号布告ニ拠リ、其部内、金穀公借共有物取扱、土木起工等ノ事ニ預ルヲ本務トシ、人民ノ利害得失ニ注意シ、実施ノ事項ハ必ズ総テ郡長ノ指揮ヲ受クベシ。
第二条 郡総代人ハ、郡内町村ノ戸数割税各戸出金ノ乗率又ハ協議費、事ニ預ルベシ。
第三条 町村総代人、町村協議ノ事項ヲ郡長ニ申開スルトキハ、郡総代人ノ加印ヲ請ケ、郡総代人ハ其部内町村総代人ヨリ差出ス書面ニ加印スベシ。
第四条 郡町村総代人ハ、地方長官又ハ郡戸長ヨリ其部町村内ニ施行スベキ事件ニ付意見ヲ問フコトアルトキハ、コレヲ会議スルコトヲ得。
第五条 町村総代人ハ、其町村ノ経費ヲ以テ支辨スベキ事業ヲ起廃シ、或ハ之ヲ伸縮スルコトヲ得。
第六条 町村総代人ハ、其町村ノ経費ヲ予算シ、及ビ其賦課法ヲ定ムベシ。
第七条 郡町村総代人ハ、其郡町村内共有財産ノ額ヲ増減シ、又ハ維持法、貸付増殖等ノ事ヲ謀ルハ総テ成規ニ基キ措弁スベシ。
第八条 町村総代人ハ、其町村ニ割付シタル戸数割税ヲ徴スル為、各戸出金ノ乗率ヲ定ムベシ。
第九条 数郡町村同一ノ利害ニ係ル事項ハ、該郡町村総代人連合シテ協議措弁スベシ。
第十条 郡町村総代人、事務取扱上ノ規則等ヲ設クルコトアルトキハ、其郡町村ノ便宜ニ従テ之ヲ設ケ、郡長ノ認可ヲ受クベシ。
第十一条 郡長に於テ、郡町村ノ評決ヲ不適当トスルトキハ、其施行ヲ止メ、又ハ更ニ協議セシムルコトアルベシ。
第十二条 郡町村総代人ハ前各条ノ外、其郡町村内ニ施行スル事件ノ執行ヲ郡長ヨリ命ズルトキハ、之ヲ奉行スベシ。
第十三条 郡町村総代人ハ其地ノ義務ナルヲ以テ、任期中私ニ辞スルヲ得ズ、但給料ナキモノトス、然レドモ其職務ノ事件 ニ付キ施行スルトキハ旅費日当ヲ給ス。尤其金額ハ該郡町村ノ協議ニ任スベシ。